東京都小学校道徳教育研究会[都小道研]

研究主題

令和4年度 研究主題

よりよく生きるための基盤となる道徳性を養う

 人工知能(AI)、ビッグデータ、Internet of Things(IoT)、ロボティックス等の先端技術が高度化してあらゆる産業や社会生活に取り入れられたSociety5.0時代が到来しつつある今、社会の在り方そのものがこれまでとは「非連続」と言えるほど劇的に変わる状況が生じつつある。このように加速度を増して社会が変化していく中、新型コロナウィルス感染症の世界的な拡大や世界各地で起こる紛争は、その複雑さと予測困難さに拍車をかけている。
 私たちの学校においても、幼少期から自然や人との直接の関わりが不足すること等に起因する多様な問題が起こり、規範意識の希薄化やいじめ、無気力、不登校といった形で表面化している。昨年度の都教育庁の調査報告では、ついに「都内の公立小学校で100人に一人の児童が不登校」という看過できない状況も生じ、「子供たちの心をどう育てるか」については、今、学校・家庭・地域 社会 で真剣に考え、論じ、対応をしているところである。
 さて「特別の教科 道徳」(以下、道徳科)が全面実施となり4年が経過した。本研究会では、昭和33年に道徳の時間が特設されて以来、60年の研究の積み重ねを基盤とし、確かな指導観(価値観、児童観、教材観)をもち、道徳科の特質を生かした学習指導過程や指導方法の工夫を研究し、その成果を全都に広げるよう努めてきた。調査部が昨年度実施した児童対象の調査では、道徳の学習をしてよかったと思うこと に「よりよい自分になりたいと思えたとき」と回答した児童が、前年度より7%増加していた。都内の各学校で道徳科の授業が定着し、一人一人の児童が自身の姿を見つめ、振り返り、そしてよりよい自分になろうと意識していることが分かる。
 しかし一方では、行動規制がかかる感染症対策下の生活の中で、児童も好きなことや興味のあることに夢中になって取り組むことが難しい状況が続いている。また、「夢や希望をもつことが大切だ」と分かってはいても、実現に向かって努力する状況ではないと感じてしまう児童もいる。さらに、海外の状況からは、生命の尊さや人として生きる権利等についても深く考えさせられる。自らの力ではどうすることもできない閉塞感の中にいる児童に対し、それでも「人としてよりよく生きる上で大切なものとは何か」「自分はどのように生きるべきか」等について正面から向き合わせてその考えを深め、自らの生き方を育んでいくようにさせたいと強く願う。
 そこで本研究会では、学校の教育活動全体を通じて行う道徳教育と道徳科との共通の目標である「よりよく生きるための基盤となる道徳性を養う」をそのまま今年度の研究主題とした。このような不透明な社会の中でも、全都60万人の児童に「よりよく生きること」について真っ直ぐに向き合わせたいと考えるからである。
 今年度も都小道研の調査部、研究部、研修部、事業部の各部が、ますます連携を深めながら組織的な研究活動に取り組んでいく。さらに、会計部、総務部、渉外部、広報部の各部が研究活動を支えるとともに、研究内容を都内各校へと広く浸透させ、都小道研の研究活動の統一感を図っていくこととする。

≪参考≫
・小学校学習指導要領解説 特別の教科 道徳編 [平成29年7月 文部科学省]
・「令和の日本型学校教育」の構築を目指して
  ~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと協働的な学びの実現(答申) [令和3年1月26日 中央教育審議会]
・令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」について [令和3年10月13日 東京都教育庁]

ようこそ、「東京都小学校道徳教育研究会[都小道研]」のホームページへ!

携帯用QRコード

QRコード
携帯のバーコードリーダーでQRコードを読み取ることで、携帯版ホームページへアクセスできます。
東京都小学校道徳教育研究会
アクセスカウンター
PAGE TOP